変動金利と固定金利、家づくりの際考えるポイント

お金術

前回、家づくりにかかる費用についてで、3000万円のローンを期間35年で返済していくとした時の1ヶ月あたりの返済額を試算しました。

今回は、変動金利と固定金利のどちらを選ぶかを考えていきます。選ぶ際のポイントとして大きく関わってくるのが住宅ローン減税。2021年9月末までの契約とそれ以降の契約では内容がかなり違います。

住宅ローン減税の控除期間や控除額

まず、検討すべき大事なことに住宅ローン減税があります。税制の改正などにより、減税のメリットがしっかり受けるには、その内容を確認する必要があります。いつまで契約・入居すれば13年間の「住宅ローン減税」を受けられるかまとめてあるのが下記の表です。

契約締結日居住開始日適用
控除期間
~令和2年(2020年)12月31日13年
■注文住宅
令和2年(2020年)10月1日~
令和3年(2021年)9月30日
令和3年(2021年)1月1日~
令和4年(2022年)12月31日
13年
令和3年(2021年)12月1日~~令和4年(2022年)12月31日―(未定)

令和3年(2021年)度住宅ローン減税の適用期間。上記は床面積50m2以上、消費税10%の物件の場合
参考:「住宅ローン減税制度について」(国土交通省)

住宅ローン減税の還付(控除)額の概要は下記のとおりです。

居住開始時期控除期間最大控除額
令和3年(2021年)1月~令和4年(2022年)12月
消費税率10%の住宅を取得
13年間
(注文住宅は令和2年(2020年)10月1日~令和3年(2021年)9月30日)に契約
【1年目~10年目】
住宅ローンの年末残高(※4000万円が上限。長期優良住宅・低炭素住宅(以下「認定住宅」という。)の場合は5000万円が上限)×1%×10年=最大控除額は400万円(長期優良住宅・低炭素住宅の場合は500万円が上限)
【11年目~13年目】
以下(1)(2)のいずれか小さい金額 ×3年
(1)住宅ローンの年末残高または住宅の取得対価のうちいずれか少ない金額(※4000万円が上限。ただし認定住宅の場合は5000万円が上限)×1%
(2)建物の取得価格(※4000万円が上限。ただし認定住宅の場合は5000万円が上限)×2%÷3

住宅ローンの控除額は最初の10年間は上限が400万円(一般住宅)または500万円(長期優良住宅・低炭素住宅)、11年目~13年目の3年間は計算方法が異なる。
出典:「住宅ローン減税制度の概要」(国土交通省)

2021年10月以降の契約は控除率の上限が変更

2021年9月までに契約しないと13年の控除期間が受けられなくなるかわからないという他に、もう一つ大きな変更があります。

それは、住宅ローン控除の控除率の上限が「一律1%」から、「1%」と「借入利率」の低い方へ修正されるということです。

現行の控除率変更後の控除率
2021年10月以降契約
一律1%1%と借入利率の低い方

2021年10月以降の契約は変動金利より固定金利

 現行の制度では、どれだけ低金利の住宅ローンを借りても、一律1%の控除の恩恵が受けられることになりますが、住宅ローン控除の上限が「1%」と「借入利率」の低い方になると、低金利の住宅ローンを借りたところで住宅ローン控除のメリットも減ってしまいます。

固定金利が有利

例えば0.5%の変動金利と1%の固定金利を比較すると、どちらも住宅ローン控除のある期間は、利息の負担はありません。ただし、変動金利には金利の上昇リスクがある一方で、固定金利は金利が固定されているので金利の上昇リスクはありません。

0.5%の変動金利1%の固定金利
控除0.5%控除
(利息負担なし)
1%控除
(利息負担なし)
金利上昇リスク負う負わない

 このことから、減税期間についてはどちらも利息の負担がないので、金利が上がるかもしれない変動金利よりも、上昇リスクを負わない1%の固定金利が有利な選択となります。

金利が1%になるように疾病保障団信を付ける

 さらに、適用金利が1%以下に収まる範囲で、金利上乗せの疾病保障団信を付けることが考えられます。金利上乗せ型の団信は契約上、住宅ローンの金利として払うものになります。そのため、団信を付ける場合と付けない場合で下表のようになります。

0,7%の固定金利0,7%の固定金利➕0.3%の疾病保障団信
控除0.7控除
(利息負担なし)
1%控除
(利息負担なし)
保障病気等で住宅ローンの減額等なし対象の疾病で住宅ローンの減額あり

 どちらも減税期間については、利息の負担がありません。上限の1%になるように疾病保障団信を付けておけば、対象の疾病になったときに住宅ローンがゼロ円になる保険付きということになります。控除期間については、団信を付ける方が圧倒的に有利です。

まとめ:2021年9月が分岐点

現行の制度では、低金利のローンを借りたとしても一律1%の控除が適用されます。このことから住宅ローンの金利が1%未満だと、住宅ローン控除によって税金の戻しの方が金利よりも多いため、借りた方がもうかってしまうほどのメリットがあります。

一方で2021年10月以降の契約となると、一律1%ではなくなることから、固定金利も視野に入ってきます。

自分たちの新築の際にはもこのスケジュール感を頭に入れながら進めていきたいと思います。

コメント

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