私がセミリタイアを選んだ当初の働き方への理想は、シンプルでした。場所を選ばず、自分の興味関心を仕事にでき、年齢に関係なく活躍できる仕事。これが私の最初の働く基準でした。
理想と現実のギャップ
最初は在宅ワークこそが究極の働き方だと信じていました。私が住んでいる地域は雪が多いので、特に冬は外に出ると出社前の雪かきが重労働でした。また職場では会社内の違う部署からの電話やお客さんの対応で仕事がブチギレになっていて、なんて非効率なんだとずっと感じていました。
もし誰からも邪魔されずに仕事ができたら最高だなと思っていました。そんなわけで、セミリタイア後は在宅ワークを目指していた私でしたが、在宅ワークの求人を見ていくうちに、また、セミリタイア生活で家での時間が長くなるにつれて、果たしてそれが本当に自分の望む働き方なのかという疑問が湧いてきました。パソコンと向き合う事務仕事だけでは、どうも物足りない。人との交流や、身体を動かす要素が欠けているのではと考えだしました。
孤独との向き合い方
セミリタイア後の最大の課題は、予想以上に深刻な「孤独感」でした。自分の場合、家族との会話だけでは人との交流として十分ではないと感じています。
SNSやネットでの関わりは、物足りなさを感じています。特に田舎に住む私にとって、まだまだ地域独自の情報は多く、ネットに載っていないリアル情報などはひとづてに聞くことも多いです。そういった意味でも人間交流は単なる選択肢ではなく、生きていく上で必要な要素となっています。
また、交流という意味では、セミリタイアやファイア関連の仲間がいれば理想的ですが、現実は厳しいところもあります:
- 公にFIREを追求している人はほとんどいない
- 地方ではオフ会などの交流の場が圧倒的に不足している
- 同じ志向性を持つ人々との出会いが困難
今、私が求めているのは:
- 年齢層の異なる多様な人々との交流
- 職業や背景を超えた対話
- 互いの経験や知恵の共有
- 生きた情報交換の場
デジタル技術が発達した現代だからこそ、逆説的に「リアル」な人間関係の価値が高まっていると感じます。単なる情報交換ではなく、肌感覚での共感や理解が生きがいという視点からも重要と感じます。
これまでに、働くこと以外にも、次のような具体的なアプローチを考えていましたが、いかんせん田舎、圧倒的にコミュニティが少ない。土日や平日夕方以降は家族と過ごしたいという前提だと、基本平日の昼間活動しているのは高齢者だけという感じです:
- 地域のコミュニティ活動への参加
- 趣味や興味に基づくグループ活動
- ボランティア活動
- 地域の学習センターやイベントへの参加
- 多様な年齢層が集まる場所での交流
やはり働くというのがお金ももらえるし一番の簡単なのではと考えています。
孤独は与えられるものではなく、自ら打破するもの。セミリタイアという新たな人生のステージだからこそ、能動的に人間関係を紡いでいく必要があります。
セミリタイアと「脳のスイッチ」問題
セミリタイアの自由さは、逆説的に大きな挑戦をもたらしました。家にずっといると、脳のスイッチがなかなか入らないのです。動きたい時に動くという柔軟性は素晴らしいセミリタイアの魅力ですが、実際の生活では、一日何もせずに過ごすことへの微妙な後悔が常に付きまとっていました。
何もしない日々を過ごした後、私は常に同じ感情に襲われます。「もっと何かできたのではないか」という後悔です。おそらく、何かしらの行動を起こすことで、より充実した一日を過ごせるはずだという直感がありました。
興味深い発見は、ある程度強制的に外に出ることで、脳のスイッチが入るということでした。外出は単なる物理的な移動以上の意味を持ちます:
- 環境の変化が脳に刺激を与える
- 新たな視覚、聴覚、触覚の体験が思考を活性化
- 身体活動が精神的エネルギーを喚起
外に出ることで、不思議と「その後」の行動意欲が高まります。一日中家にいると停滞しがちな創造性やモチベーションが、外の世界との接触によって再点火されるのです。
セミリタイア生活において、生活の質の向上に対するモチベーションを維持することは継続的な挑戦です。「いつでも好きな時に動ける」は魅力的な概念ですが、実際にはある種の構造化された活動が心理的健康には重要だと気づきました。
転機となったセミリタイアの先輩である友人の経験
セミリタイア先輩の友人の経験が、私の働き方への考え方に影響を与えました。彼は7年ほど前からセミリタイア生活に突入しており、当初は在宅での仕事を行っていましたが、2年ほど前から、アルバイトと在宅ワークの二刀流で仕事をしています。今では倉庫での仕分け作業に携わっていますが、その職場では自分でシフトを出して働けるそうで、かなり自由度が高く気に入っているとのこと。また、筋肉がついて健康的だと話してくれます。
特に印象的だったのは、「2年ほど前までは在宅で仕事を受注して働いていたが、外での仕事をしてからメンタルが安定した」という言葉でした。彼によれば、今の働き方の方が幸せだと言っていました。
リアルの職場での理想の職場像
私の前職は、オフィスでのデスクワークでした。その経験とこれまでのアルバイトの経験(プールの監視員、郵便配達、居酒屋スタッフ、イベント会場の設営・撤収など)が、現在の理想の職場像を形作っています。現在、私が求める職場像は以下のようなものです:
- 人員が流動的
- 帰宅後も仕事のことを考えない
- 雑談ができる職場の雰囲気
- 少し体を動かせる環境
- 30代〜50代以上の同僚が多い
- 柔軟な勤務時間(9-15時、週3-4日)
- 季節を問わず快適な作業環境
1. 人員が流動的
流動性は、職場に新鮮さと活力をもたらし、多様な人材との出会いと交流の機会が増えることで、新しい視点を柔軟に取り入れられる可能性が高いですね。固定化された人員配置から生まれる閉塞感から解放されることも大きいと思います。時に深い人間関係につながるかもしれませんが、自分の経験上ある程度流動的な方が人間関係はいいことが多い気がします。
2. 帰宅後も仕事のことを考えない
正職員として働いていた時の仕事の弊害として大きかったのは、仕事をしていない時間も仕事のことをどこか考えてしまうことです。休日休んでいる時も、仕事から帰って夕食を食べてゆっくりしている時間でも、ふと仕事のことを考えて落ち込んでしまう。こんなことは日常茶飯事でおこっていました。
セミリタイアした今のメリットの一つとして、仕事のことを一切考えずに余暇を過ごせるということがあります。仕事は生活の一部であり、全てではありません。帰宅後も心穏やかに過ごせることが、長期的な幸福と生産性につながります。
3. 雑談ができる職場の雰囲気
個人で仕事をして完結するのであれば、わざわざ外にでて働く意味はなく、在宅ワークでもいいと思います。職場の人同士がゆるく関わり合いながらできる仕事が理想です。
4. 少し体を動かせる環境
前職もデスクワークでしたが、本当に体に悪いんだろうと日々感じています。体の衰えがやばいです。最近では少し高いところからジャンプするのも、怪我するんじゃないかと躊躇ってしまいます。
座り仕事が中心の現代において、身体を動かす機会は健康維持に不可欠です。かと言って土木関係とか引っ越し関係とかガチで体使うのは逆に体を壊しそうなので避けたい、そして屋外の作業も季節によって過酷なので避けたい。屋内でたち作業などちょっとあったりするのが理想ですね。
5. 30代〜50代以上の同僚が多い
昔居酒屋で働いていた時期もありましたが、自分より若い人が多数を占める職場はやっぱりきつい。できれば同年代以上の人たちと関わりたいですね。
若い世代の勢いと、ベテラン世代の経験が融合する環境は、個人の成長に最適です。
6. 柔軟な勤務時間(9-15時、週3-4日)
子どものお迎えや家事などを考えると、9時から15時くらいがベストだと思っています。この時間を週3、4日くらいで働ける職場を探していますね。休憩時間とかお金がでない拘束時間は不要なので、6時間以内でパッと働いてパッと帰るみたいなのがいいなと思っています。
結論
これらの要素は、単なる理想ではなく、現代の働き方における本質的なニーズを反映しています。柔軟性、健康、人間関係、そして個人の成長を重視する職場環境こそ、真に価値ある働き方なのです。
今後の展望
求人を久しぶりにチェックすると、いくつか興味深い仕事が目に留まりました。正社員にこだわらなければ、選択肢は意外と豊富。自分の基準に沿って求人に応募してみようと思います。
また、YouTubeなどの活動はそのまま続けて、さらに将来的なキャリア戦略として、資格取得も視野に入れています。具体的には、社会保険労務士や行政書士といった、自分のセミリタイア経験を活かせる士業資格に興味があります。これらの資格は、将来的なリスクヘッジとキャリアの選択肢を広げる可能性を秘めています。
おわりに
理想の働き方は固定されたものではなく、常に変化し続けるものだと実感しました。柔軟性を保ち、自分の幸福度を最優先に考えることが、最も大切なのだと思います。
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